そうして私は、婚活をやめた
今週のお題「卒業」
思ったのは突然だった。
「一人暮らしやめよ」
その時私は、台東区の築35年のワンルームアパートに住んでいた。
一人暮らしは、自分の部屋がなかった学生の時からの悲願で、会社も家賃手当
があるから選んだようなものであった。
そんな強い思いがあった初めてのお城も季節が一周すると真新しさがなくなった。
お金を切り詰めるために、近くのパン屋でパンの耳をもらい、健康を犠牲にしながら過ごした一年は本当に楽しかった。
会社のお給料だけでは足りず、アルバイトを掛け持ちして、土日も働いた。
『自分だけの空間で快適に過ごしたい』という本来の目的を見失ってしまい、
友達ともめったに合わず、『一人暮らしを存続させる』ということを目的として無理をして過ごしていることに気づいてしまったのだ、唐突に。
それは、婚活にも似ていると思った。背伸びして無理して、人と付き合うのは幸せに通じるのだろうか。
勝ち組と付き合うのが婚活の目的なのであろうか。
お互い無理をせず、快適に過ごせる、そして思いやることができることが持続可能な関係性には不可欠ではないだろうか。
そう思って一週間後に会った人と婚約し、私はそのボロアパートを去ったのでした。